多羅尾伴内シリーズ・七つの顔
日本/1946年
上映時間 80分

大映と言えば、時代劇製作が中心だったんだよね。
戦後アメリカ軍の占領下にあった1946年(昭和21年)、 GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)によって、軍国主義の象徴ということでチャンバラ時代劇が禁止になったなった時期があった。
日本刀を振り回すのがよくなかったんだろうね〜

そこで会社側は時代劇脚本家の比佐芳武に、時代劇の大スターである片岡千恵蔵が主演の現代劇を書くように指示したんだって。
そして出来上がったのが、名探偵「多羅尾伴内」が主人公の『七つの顔』だった。

監督/松田定次
脚本/比佐芳武

多羅尾伴内・・・片岡千恵蔵
清川みどり・・・・轟夕起子
野々宮信吾・・・月形龍之介

  
  
  
片岡千恵蔵
 
轟夕起子
 
月形龍之介
 
  
  
  
香川良介
上田吉二郎
原健作

■ストーリー

あるレヴュー劇場の花形歌手・清川みどり(轟夕起子)が出演中、楽屋で火災が起きた。
清川みどりは100万円のダイヤの首飾りをつけたまま、不気味なマスクの2人組に誘拐されてしまう・・・・
誘拐され昏睡からさめた清川みどりは、車に乗せた2人に、とある場所で解放された。

「歌姫誘拐される」「ダイヤの首飾をめぐる怪事件」「奇怪 百万円ダイヤの盗難」の記事が大々的に報道され、新聞紙上をにぎわす。
ダイヤの首飾りの貸主、金田金平はもと鬼刑事でならした本堂応助を伴って清川みどり邸にやってきた。

後を追うようにメガネをかけた風采の上がらない中年男が入って来る。
私立探偵の多羅尾伴内の登場だ・・・・・・

本堂は犯罪の知能性から、 これは昭和16年以来消息を絶った日本のルパン藤村大造の所業だと断定するが、多羅尾伴内はこの事件の解決には三日もあれば充分だと豪語した。

そして、百万円ダイヤの盗難事件は選挙がらみの事件へと展開していく・・・・

ある時は多羅尾伴内

無報酬の私立探偵。
伊達眼鏡と口ひげ、ひょこひょこ歩くとぼけた感じの男。

ある時は奇術師

ステージで手品する謎の奇術。

ある時は老人

老巡査。

ある時は新聞記者

毎曜新聞の記者。

ある時は手相見

伴内の鞄を背中に入れて、せむしに見せている。

ある時は片目の運転手

名前は押川広吉。ハンチング帽をかぶり、右目に眼帯をしているこわもての男。

しかして、実体は藤村大造だ!

元怪盗で日本のルパンと騒がれた藤村大造、多羅尾伴内の正体「正義と真実の使徒」。
事件の真相を語り、二挺拳銃で犯罪団と銃撃戦を展開する。
事件解決後は、一編の詩を残して、オープンカーで去ってゆく二枚目紳士。

まさかこの多羅尾伴内シリーズが、後のTVドラマ「七色仮面」(1965年)のベースになるなんて思ってもみなかっただろね。


この頃の映画って、やたらタバコを吸うシーンが多い(今じゃ嫌煙権とかで、あまりタバコは映画の中に登場しない)! あのころは映画の小道具の一っだったんだな〜。
当時は観客もタバコを吸いながら観ていたし・・・・・・

また、鬼刑事でならした本堂応助と金田金平(ダイヤの貸主)が葉巻火をつけるシーンでは、本堂応助のライターに対し、多羅尾伴内はマッチというのもそれとなく階級層の違いを皮肉っているのかな。

それにしても、タバコに火をつけたマッチを部屋の床に捨ててる(上の画像の赤い囲みの中)・・・・・これが普通だった時代だった(笑)

この映画に使われた拳銃は、ブローニングM1910。
当時は警察の協力が有があり、実銃が使用されたと言うのを、むかし読んだことがある。(打ち合いのシーンはもちろん空砲かステージガンだろうけど)銃のアップがリアルなのも納得できるね。

警察にパトカーが登場したのは昭和25年ころで、当時はバイク(サイドカー)が主流だったんだ。
バイク(サイドカー付き)で現場に向かうシーンは、今みるとなんとなく笑えてしまう。

このシーンはもしかして、本職の警官がエキストラ出演していたのかな?

多羅尾伴内は、1967年に高城丈二が主演の「七つの顔の男」という題名でテレビシリーズ化さた。
また、1978年には、漫画版で小池一夫作・石森章太郎画「七つの顔を持つ男 多羅尾伴内」が週刊少年マガジンで連載された・・・憶えている人、多いのでは?
1978年に小林旭主演のリメイク版もあるんだけど、こちらはヒットしなかったみたい。

 

■1967年10月29日から1968年1月21日まで、NETテレビ(現・テレビ朝日)系列で放映された。
主演・高城丈二 日曜日20:00〜20:56(56分ドラマ)

■1978年、小林旭主演のリメイク「多羅尾伴内」「多羅尾伴内 鬼面村の惨劇」の2本が制作された(東映東京)。

  

■1977年から1978年まで、小池一夫作・石森章太郎画「七つの顔を持つ男 多羅尾伴内」が少年マガジンで連載された。
かつての名探偵、多羅尾伴内こと藤村大造は老いていた。
二代目多羅尾伴内として、ひとりの青年、紙袋順平が主人公・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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